モンゴル旅行記(福田 勝之)

M E S T

Mongol Exchange & Support Tour

1997.6.21 〜 1997.6.25



モンゴル旅行記 〜初めての遭遇〜

(社)笠間JC モンゴリアンズ

1997年度副理事長 福田 勝之

 関西空港からたった四時間半、そこには緑に包まれた大地かあった。眼下の大地は緑一色であり、草原を 歩<人が蟻のように貝え、まるで箱庭のようだ。空港に降り立つと熱い空気が出迎えてくれた。モンゴルの ウランバートル空港である。
 我々は空港内部に入り入国審査を受けるため団体ピザの順番に並ぶ。ハワイやヨーロッパのようにつめか ける日本人旅行客はいない。大きな持物を持った女性や、薄汚れた格好の男、解らない青葉で会話をしなが ら進んでゆ<夫婦など、映画「インディー・ジョーンズ」の様にアジア辺境の地に迷い込んだようである。
軍服を着た審査官は怪訝そうな顔でやけに怪し<、不壊嫌そうに一人一人順番にパスポートをチェックして ゆく。無事に通過して手荷物を受け取り表へでてくると、現地のガイドと白土先生の教え子たちがネームを 書いた紙切れを持って出迎えて<れた。「堀さんですか?」流暢とはいえない日本語だが奇妙な安心感があっ た。何か起きそうな五日間の始まりであった。

フラワーホテルにて交流会
( フラワーホテルにて交流会 )

 今回のモンゴル行きで−番印象に残ったのは南ゴビでのゲル(現地遊牧民が住居として使うテント)生活 であった。たった一日であったが、唯一遊牧民と接触でさる機会であった。
 南コピヘはチャーター横(?)で一時間半、そこから現地旅行会社のバスで約三十分、長い凸凹遵を経て 草原の真ん中に20ほどある旅行者用ゲルに到着する。事前の鋭明やガイドフックの情報で、サソリかいる だの温度差か激しいなどといわれてきたが、草原を柵で囲っただけの敷地内はよく整備されており、雨露は 十分にしのげそうである。お陰様でトイレもあればお濡のシャワーも使えるとのことで安心した。
 「近くに遊牧民がいるので、ラクダに乗りにゆきましょう。そこではヨーグルトやチーズを食べさせてく れます。」とガイドにうながされて、先ほどの腰を痛めたバスに再度乗り込む。時間はすでに午後8時頃であ ったが、まだまだ日も高く蒸し暑い。
 再度道なき道を疾走してゆくと、緑のなだらかな起伏の先にぽつんと白い米粒が見えてくる。その米粒が 次第に姿を現すと、遊牧民のゲルだとわかってきた。薄汚れた白いテントのまわりには、羊の群やラクダが 集まっていた。
 我々がバスを横付けにすると、ガイドは先頭にたちそこの主人の元へ歩み守りなにやらモンゴル語で話を している。その主人は身長150センチ位で、顔色は日に焼けているためか妙に浅黒<老けて見え日本人で いえば50歳位だろうか。現地衣装に身を包みこちらを見つめている。ふと脇を振り向くと、その妻であろ うか同じく浅黒い顔をして、また同じように見つめている。彼女は私と目が合うと恥ずかしいのかすぐにゲ ルの中に隠れてしまった。
 「中をのぞいてもいいんでしょうかね。」初めての旅行先で戸惑いなからガイドに尋ね、恐るおそる中に入 ってみる。戸外の明るさとは違い中は薄暗く、先ほどの女性がどこにいるのかもわからない。私が一歩中に 入った瞬間、隅の方にあった黒い固まり突然動きだしこちらによって来る。一瞬ひるむとその影は入り口 近くにあった鍋の方によっていく。先ほどの女性が、小さな茶碗に白い液体をおたまを使って鍋からすくっ て移し、私の方に差し出す。「★◇●◎☆ロ◆○▲」。何が起こったのか何を言ってるのかわからずきょとん としていると今度は「Y◇G★◎T」と言ってきた。・・・? 疲れ果てている意識をたて戻し、よく考 えてみてやっとわかった。彼女は英語で「ヨーグルト」といっていたのだ。安心して改めて目の前に差し出 された茶碗の中をのぞき込むと、中には所々固まって白い粒になった牛乳のような物が入っていた。興味半 分ではあったが心配しながらその茶碗に手を伸ばし受け取り臭いをかいでみる。無臭である。ふと彼女の方 をみると、満面の笑みでこちらを見ている。下痢の心配はあったが半分日本人であることの見栄もあり、ふ ちの欠けた茶碗を□に運んでみる。彼女は相変わらずニコニコしながらこちらを見ている。覚悟を決めてち ょっと口に含んでみる。その液体か舌にふれた瞬間長旅で萎えていた神経が揺さぶり起こされた。生ぬるい こともあってか、日本の飲料会社では間違っても絶対に作らない昧である。□に入ってしまった液体をどう にか胃袋の中に追いやった。ふと見上げると、彼女は相変わらず目の奥をキラキラさせながら、真っ直ぐこ ちらを向いて微笑んでいる。

 全てのことを語るにはまだ整理がつかないが、今回のモンゴル行きはいろいろと考えさせられ非常に勉強 になった。ただはっきりと言えることは「『地球市民』という意識を改めて感じた五日間であった」というこ とである。堀委員長を初めとする指導力開発委員会のメンバーには感謝の言葉を贈りたいと思う。

南ゴビにて
( 南ゴビにて )


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